知っているようで知らない健康保険のまとめ

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健康保険って、お給料から天引きされていることは知ってるけど、いまいちよく分からないんだよな・・・

人生における様々な出来事(病気やケガ・障害・出産・老齢・死亡・失業)が発生した際に、個人が経済的に困らないように、全5つの制度からなる社会保険という仕組みが存在しています。健康保険はその中のひとつです。
この記事では、以下の内容をお伝えします。
・用語の整理|医療保険と健康保険
・健康保険のまとめ
・人事が経験した実際のケース【退職・病気・入院】
制度の説明ということもあり、聞きなれない単語や難しい感じのする文章が多くなってしまうので、なるべく図表に整理してお伝えします。
少しでも皆様の理解のお役に立てれば嬉しいです。

用語の整理|医療保険と健康保険

冒頭の図にある通り、健康保険というのは「公的医療保険」の一部分に当たります。
公的医療保険は病気やケガになってしまった際に、個人が経済的に困らないようにサポートする役割があります。
病院で診察を受けた際、自己負担が3割に減額されるのは、公的医療保険が適用されているためです。
公的医療保険にはいくつかの種類があり、以下のような切り口で分類されます。
1.組織で働いているか個人で働いているか
2.どんな組織で働いているか
3.後期高齢者に該当するか
日本ではすべての人に対していずれかの公的医療保険が適用されることとなっています。
また、公的医療保険の中には「扶養」という考え方が存在するものもあり、上記の分類に直接的に該当しない場合でも、同じ保険が適用されることがあります。
順を追って、詳細を確認します。

公的医療保険の分類①|組織で働いているか個人で働いているか

はじめに公的医療保険は、組織で働いている場合と個人で働いている場合とで、大きく「職域保険」と「地域保険」に分類されます。
組織で働いているというのは、会社に勤めているいわゆるサラリーマンのことで、個人で働いているというのは、自営業やフリーランスを指します。
・組織で働いている場合(サラリーマン)=職域保険
・個人で働いている場合(自営業やフリーランス)=地域保険
職域保険はどんな組織で働いているかに応じて、健康保険、共済組合、船員保険といったものにさらに分類されます。
地域保険には「国民健康保険」と「国民健康保険組合」があります。

公的医療保険の分類②|どんな組織で働いているか

健康保険をはじめとする職域保険には、どんな組織で働いているかに応じていくつかの種類が存在します。
組織の分類は以下の2種類です。
・会社(大企業、中小企業)
・特定の組織(公務員、船員)
会社に所属して働いている、いわゆるサラリーマンの場合に適用される保険が「健康保険」になります。
健康保険にはさらに全国健康保険協会管掌と組合管掌の分類があります。
健康保険に関する説明は次章にて詳しくお伝えします。
「公務員」と「船員」は、サラリーマンと区別して分類され、それぞれ「共済組合」と「船員保険」が適用されます。

公的医療保険の分類③|後期高齢者に該当するか

最後に、75歳以上の後期高齢者に該当する場合、適用される公的医療保険は「後期高齢者医療制度」となります。
これまでの分類とは異なり、一定の年齢(75歳以上)に達すると自動的に適用される保険が切り替わります。
※なおこの制度については現在見直しが検討されています。

まとめ|医療保険と健康保険

以上が公的医療保険の分類です。続いての章では「健康保険」にフォーカスしてより詳細な内容をお伝えします。

健康保険のまとめ

公的医療保険の中でも、会社に所属して働いている人に適用されるものが「健康保険」です。
会社に所属せず、自営業やフリーランスとして働いている方が適用されるのは国民健康保険です。
この章では以下の内容をお伝えします。
1.健康保険が適用される方とは
2.健康保険の運営団体
3.健康保険の保険料
4.健康保険で受けられるサポート
普段あまり意識することのない健康保険の詳細について、自分が適用されている保険がどんなものなのか、どんなサポートが受けられるのか、ご説明できればと思います。

健康保険が適用される方とは

健康保険が適用される方を専門用語で「被保険者」と呼びます。(ちなみに健康保険の運営団体を保険者と表現します)
健康保険の被保険者は、会社に所属して働いている、いわゆるサラリーマンです。
また、健康保険には「扶養」の概念があるため、被保険者に扶養されている方(専門用語で被扶養者と呼びます)も同様に健康保険が適用されます。
健康保険の被扶養者となるには条件があります。保険者によって詳細は異なりますが、大まかに下記2点が条件です。
・主として被保険者によって生計を維持されている
・三親等内の親族である
これらを整理すると以下のようになります。
・保険者 :健康保険を運営している主体
・被保険者:健康保険が適用される方
・被扶養者:被保険者に扶養されている方(同様に健康保険適用)
被保険者は社長や役員を含む正社員すべての方が対象となります。(個人事業所の場合一部異なる)
また、パートタイムやアルバイトなどの非正規社員であっても、下記の条件をすべて満たしている場合、被保険者となることができます。
【アルバイトが健康保険の被保険者となる5つの条件】
1.週20時間以上の労働時間
2.月収8万8千円以上
3.勤務期間が1年以上の見込み
4.学生でない
5.従業員501人以上の企業

健康保険の運営団体

健康保険を運営する主体(=保険者)は大きく2種類あります。
・全国健康保険協会:主に中小企業向け
・健康保険組合  :主に大企業向け
全国健康保険協会は都道府県ごとに設置されており「協会けんぽ」の愛称で知られています。
健康保険組合は厚生労働省の認可を受けて設立されるもので、協会けんぽに比べて保険料の金額が安価であったり、受けられるサポートが多かったりします。
しかし、健康保険組合の保険(組合健保と呼ばれます)に加入するには、組合ごとに一定の条件があり、条件をクリアした企業(の従業員)だけが加入することができます。

健康保険の保険料

健康保険の保険料は毎月の給与と賞与に対して「保険料率」を乗じて算出されます。
保険料率は協会けんぽの場合と、組合健保の場合とで異なります。
※協会けんぽは各都道府県ごとに設置されているため、その地域の医療費を反映して、都道府県ごとに異なる保険料率が用いられます。
また、毎月の給与のことを「標準報酬月額」、賞与のことを「標準賞与額」と呼びます。
標準報酬月額は第1級の5万8千円から第50級の139万円までの全50等級に区分されています。
標準報酬月額の見直しは基本的に毎年7月1日に、その年の4月から6月の三ヶ月間の平均値で行われます。これを定時決定と呼びます。
(標準報酬月額に大きな変動があった場合に行われる臨時での見直しを随時決定と呼びます。)
標準賞与額は4月1日から翌3月31日までに一年間で実際に支給された金額を千円未満切り捨てで算定されます。
こうして算出された保険料は、会社と個人が半分ずつ、すなわち労使折半で納付されます。
なお、組合健保の場合は会社側がより多く負担するように割合を調整することも可能です。

健康保険で受けられるサポート

健康保険で受けられるサポートは「現物給付」と「現金給付」に大別されます。
病院にかかったときに窓口での負担が3割で済むのは、現物給付によるものです。
現金給付にはいくつかの種類があります。代表的なものをご紹介します。
【健康保険で受けられる現金給付サポート】
〇高額療養費・・・

1か月の医療費自己負担額が一定額を超えた場合、超えた部分が請求に応じて給付される。
〇傷病手当金・・・
給与支給の伴わない連続3日以上の休業に対して4日目から標準報酬月額の約3分の2が給付される。
〇出産育児一時金・・・
出産に当たって1児あたり42万円が支給される。※医療機関が産科医療補償制度非加入の場合40.4万円
〇出産手当金・・・
給与支給の伴わない産前産後の休業期間に1日あたり標準報酬月額の約3分の2が支給される。
〇埋葬料・・・
被保険者の死亡に対して一律5万円の埋葬料が支給される。
また、組合健保の場合は通常の給付金にプラスして「付加給付」を支払っていたり、「保養所」などを提供していることもあります。

まとめ|健康保険のまとめ

以上が健康保険のまとめです。最後に人事が実際に経験したケースをご紹介します。

人事が経験した実際のケース【退職・病気・入院】

最後に、僕が人事として働く中で実際に出会ったケースをいくつかご紹介します。
センシティブな内容なので、個人が特定されることの無いように一部デフォルメしています。
以下4つのケースを一気にご紹介します。
・退職に当たって配偶者の扶養に入りたい
・退職に当たって任意継続したい
・インフルエンザのお休みで傷病手当金を受給したい
・入院でかかった高額な医療費を補填したい

ケース①|退職に当たって配偶者の扶養に入りたい

ある方から「退職にあたって配偶者の扶養に入りたいがどうしたらよいか」とご相談をいただきました。
気にされているポイントとしては「既に130万円以上の年収を受け取っている」という部分でした。
いわゆる130万円の壁というものですが、扶養に入れるかどうかの判断(扶養認定と呼びます)をする際は、向こう一年の見込み年収が用いられます。
この方の場合は退職後はしばらくお仕事をお休みされるとのことでしたので、収入は無くなります。
見込み年収も130万円未満となりますので、扶養認定の条件をクリアしていることになります。
配偶者の方は某大手企業にお勤めの方でしたので、実際の手続きとしては配偶者の方がお勤めの会社の人事部門ないし総務部門に対して、扶養追加の申請をしていただき、所定の書面の提出にて扶養追加の手続きが完了となりました。

ケース②|退職に当たって任意継続したい

ある方からは「任意継続というものがあると聞いた、保険料が安く済むなら継続したい」とご相談をいただきました。
健康保険には任意継続というものがあります。原則として、退職した場合には健康保険の資格を喪失(資格喪失と呼びます)するのですが、2年間に限りそれを継続することが可能です。
※任意継続の申し出には〆切があり、資格喪失日から20日以内の申請が必要です。
また、任意継続の際の保険料の算出に用いられる標準報酬月額には上限があるため、場合によっては保険料を低く抑えることが可能です。
しかしながらこの方の場合、標準報酬月額が上限とさほど変わらなかったため、支払保険料の金額を低く抑えることが難しく、任意継続はしないという結論に至りました。
※保険料については、これまでは労使折半だったものが全額個人負担となるため、そもそも給与天引きされていた金額からは大きく増加します

ケース③|インフルエンザのお休みで傷病手当金を受給したい

この方からは「インフルエンザにかかってしまったため、傷病手当金を受給したい」というご相談をいただきました。
しかしながら、この方は傷病手当金を受給することはできませんでした。
理由は、インフルエンザのお休みに有給休暇を充てていたためです。
傷病手当金の受給に当たっては条件があります。

協会けんぽHP|傷病手当金の受給

・業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
・仕事に就くことができないこと
・連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
・休業した期間について給与の支払いがないこと

この方の場合、有給休暇の使用によって「給与の支払いがある」とみなされるため、傷病手当金の受給はできないとをお伝えすることとなりました。

ケース④|入院でかかった高額な医療費を補填したい

この方は体調を崩されて、1週間ほどの入院をされました。
そこで負担した医療費が高かったため、人事からサポートを受けられないか、とご相談を受けました。
医療費の自己負担額が高額になった場合、一定額(自己負担限度額と呼びます)を超えた部分については、請求すれば高額療養費として給付を受けることができます。
手続きには保険者が発行する「限度額適用認定証」が必要となりますので、人事にて発行してご本人にお渡し、書類記入の上でご提出いただきました。
これにより窓口で負担した金額と自己負担限度額の差額を受給することができました。
※限度額適用認定証は事前に発行が可能です。医療費が高額になることが事前に分かっている場合は、事前発行の上、医療機関の窓口に提出することで自己負担限度額までの支払いで済みます。

最後に|社会保険は個人をサポートしてくれる制度です

健康保険をはじめとする社会保険は、人生における様々な出来事(病気やケガ・障害・出産・老齢・死亡・失業)が発生した際、個人が経済的に困らないようにサポートしてくれる制度です。
ただ一方で、知らないままだとそのサポートを受けられないこともしばしばあります。
少しずつでも社会保険について知り、必要な時に必要なサポートが受けられるよう、情報をお伝えできればと思います。
お困りのことがありましたら、お気軽にご相談くださいませm(__)m
HR - human resourceファイナンシャルプランナー
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人事ミサワ

新卒からずっと人事な25歳。人事業の傍ら資格を取ったりバイク整備したりしています。

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